問い。

雨降りの東京です。


大阪への移動日。東京は最高気温20度でも、やや肌寒い。大阪は、最高気温が18度らしい。寒いかな。北海道で初雪だもんね。


旅公演に出る前に、やらなきゃいけないこと、やるだけやったことなどをこなして、やりたくてもできないことを抱え、念のために注射をうって、もう外が暗くなった頃、新幹線に乗った。

途中の電車で「大金持ち」と表紙に書いてある本を読んでいる下校中の小学生男子に会った。時々笑いながら読んでいたから、きっと面白い本なのだろう。きちんとネクタイを結んだ彼を見ながら、小学生の頃の自分を思い出していた。コナン・ドイルに夢中だったあの頃、30年以上未来の自分の姿など想像もしなかった。そもそも夢
すら抱いていなかったかもしれない。目の前の彼には、どんな未来が待っているのだろう。笑いながら大金持ちの本を読んでいる彼の未来は、根拠などなく明るい気がした。
ふとしたはずみに遠い未来のことを考えると、真っ暗な闇に落ちていきそうで、昔も今も息が苦しくなる。普段は、馬鹿みたいに能天気に暮らしているのに。

確か、中学に入る前の頃、「計画的に生きるのはやめよう」と思ったことがある。子供のくせに、「大人が言うから計画を立てて生活したら、いいことがなんにもなかった」と感じたのだ。たぶん、三ヶ月くらい計画的に勉強したりしていたのだと思う。その頃の三ヶ月は、長かった。挙げ句、成績は上がったが、塾の先生に「最近の
お前はつまらなくなったな」と言われたのだ。ショックだった。どんなに成績が良くても、どんなに真面目でも、つまらない人間じゃ、意味がない。そうなっちゃうのが一番ダメな気がした。そうして、「計画的に」をやめることにしたのだ。

小学生の頃、おもしろい奴と足の早い奴を、尊敬した。頭のいい奴、あんまり遊ばない奴は、なんだかつまらない気がした。あくまでも少年の僕の価値観だが、そうやって育ってしまったのだから、それが自分の今生の道なのだろうと思う。
つまらない人間になっていないか、あの頃の自分が問いかけてくる。



今日も、ありがとう。