望み。

春の東京です。


暖かい日曜日。

桜も満開だ。

これぞ春。

これが春。

たくさんのお花見の人々がいるのを見て、ちょっと心がゆるむ。

日本に、桜があってよかった。

いまが桜の季節で、よかった。

大きな喜びなんか、なくたっていい。

つつましく、おだやかに、
生きていられたら、

それで、いい。


過ぎた望みだろうか。



今日も、お元気で。



今日も、ありがとう。

tomorrow。

雲ったり雨が降ったりの東京です。


春が来たんだな。

テレビでミュージカル『アニー』の番組を観ると、そう思うようになった。

新しいキャストを選ぶオーディション。10歳の子が、五度目のオーディションがなんて知ってしまうと、時の流れは、誰にも平等かもしれないけど、時の流れの密度は、それぞれが選ぶものだと、改めて感じる。

人は自分の人生を生きるしかない。その人生の舞台では、たとえどんな役であろうとも、やはり自分が主人公だ。

傷ついても、

苦しんでも、

負けそうになったり、

くじけそうになったり、

死にたくなったり、


もういやだ


もうだめだ


もうむりだ


もう　


もう


でも


でも、そこから這い上がってくるのが、主人公なんだ。


主役は、その場所に戻ってくるんだ。


仮面ライダーだって、

ウルトラマンだって、

毎週毎週、どんな危機も乗り越えたじゃないか。


でも、


怪人だって、怪獣だって


やっぱり毎週帰ってきた。

負けても負けても、やられてもやられても。


ライダーだって怪獣だって、どっちも大変で、どっちも必死なんだ。


そして、お互いがいて、お互いが輝く。


主人公だけの、人生の舞台は、ない。


同じ時代の物語を生きる登場人物たちだ。


たったひとつの物語だ。


『アニー』の少女たちの、けなげさに、強く胸を打たれた。


10歳の命に。



今日も、お元気で。



今日も、ありがとう。

ほんの。

雲っていて風の強い東京です。


ラジオから「明日に架ける橋」が流れてくる。


Bridge Over Trouble Water


家内がくず湯を入れてくれた。


パクチーの鉢を買ってきたの、と。


気温は暖かい一日だけど、日差しがないので、部屋はちょっと肌寒い。


半日パソコンに向かっていたので、いっそう寒く感じていた。


ほんの少しのあたたかさ。



今日も、お元気で。



今日も、ありがとう。

だから。

快晴。


神戸に行った。

仕事をしたわけじゃないので、ただの旅行だ。

逃げてきたの？と訊かれた。

そんなつもりは全然なかったけど、そう思われても仕方ないだろう。

お芝居とお芝居の狭間で、どこかへ遊びに行こうと思っていたのだ。

でも、そんな気になれなかった。

働いてる人もたくさんいるし、戦ってる人もたくさんいるし。

僕には助けに行く方法もないし、行っても役に立ちそうもないし、寄付とかも小さな身を切り売りするだけのような気がして。

今は何もできない。

元々、たいしたことはできない僕だから、お芝居くらいしかできない僕だから、今は休もうと考えた。

たぶん、出掛けて行ったことは、よかったと思う。

キャラメルボックスどんどんやってよ。観に行くし、一緒に募金もやればいいよ。

そう言ってもらえた。

キャラメルボックスやらなきゃだめだよ。応援するからさ。

神戸の人が、そう言ってくれた。

16年前、どこにも灯りのない三ノ宮の街で、赤い提灯つけて、かろうじて繋がったガス焚いてお店をやってたら、どんどんどんどん人が来るんだよ。

やってますか？やってるんですねって、安心したように来るんだよ。

だから昼間もお店を開けといたんだよ、誰かが来るかもしれないから。誰も来なかったけど。

街の灯だ。

これが街の灯なんだ。

僕に灯せるのが、演劇の灯だけなら。それはやはり、つけなきゃいけないんだ。
その場所は、開けなきゃいけないんだ。

こうこうと灯りをともして。


だから、神戸に行ってよかったと思う。

こっちにおいでよとも言われたけど、僕は東京に帰る。

そこで演劇という小さなお店を開くのだ。小さな灯りをともすのだ。



今日も、お元気で。



今日も、ありがとう。

お父さん。

今日も快晴。


お父さんが、アイスクリームをなめる。


ひとりでなめる。


長椅子に足を投げ出して、

ただもくもくと、ぺろぺろなめる。


愛犬は、ぺろ、かもしれない。


なんでひとりなんだろう。

でも、ちょっとうれしそうだ。


でも、けっこうおいしそうだ。


お父さんは、アイスクリームをなめる。


とけるないうちに、ぺろぺろいそがしくなめる。


今日も、お元気で。



今日も、ありがとう。

食べる。

今日も快晴の喫茶店です。

朝ごはんを食べにやってきた。

サンドイッチを頼む。

トマトとレタスと玉ねぎ、シンプルなやつ。

おいしい。

お店の人が作ってくれたから、おいしい。

知ってる誰が作ってくれたら、もっとおいしいかもしれない。

でもね、トマトもレタスも玉ねぎも、私が作ったんじゃないのよ。

それは、たぶん知らない誰かが作ったもの。

一生懸命育てたもの。

雨の日も、風の日も、

雪の日も夏の暑さの日にも、大事に育ててきたもの。
だから、大切に食べる。

ありがとうって、食べる。
元気になるよ、大きくなるよって、食べる。


誰かが作って、

誰かが売って、

誰かが買って、

お母さんが作って、

お父さんが作って、

わたしが作って、

僕が、食べる。

みんなが、食べる。

みんなで、食べる。


残しちゃ、だめよ。


好き嫌いは、だめよ。


大きくなれないよ。


元気になれないよ。


みんな、みんな。



今日も、お元気で。



今日も、ありがとう。

青空よ。

快晴の空港です。


お茶がしたくてやってきた。

茶しばきにエアポート行かへんか、だ。

ちょっと歩き回ったので、柔らかい椅子に座ったら眠くなってきた。

気温は低いが、日差しが暖かい。

窓の外は、ぽかぽかに見える。

ガラス一枚隔てただけなのに、向こう側の寒さがわからない。

テレビの向こう側は、なおさらだろう。

ネットのあちら側は、さらにだ。

その場にいなければ、その場所に行かなければ、わかりゃしないのだ。

なにもかも。


なんだ、この青空は。


美しすぎる青さは。


高い高いお空から眺めたら、この国は美しいままなんだろう。


だから、わかりゃしない。

僕には、なにもわかっちゃいない。


そんな風にして、お茶を飲む。


温かいお茶を飲む。



今日も、どうかお元気で。


今日も、ありがとう。

ありがたい。

やや寒い東京です。


昨日の日差しの余韻が部屋に残っているんだろう。暖房なしでも、暖かい。ありがたい。


日曜日の電車は、ずいぶん空いてる。ありがたい。


水曜日くらいから春の陽気らしい。ありがたい。


まだまだ咲いてない桜もいっぱいある。ありがたい。

いろんなことがあるけれど、すてきな話だっていっぱいある。ありがたい。



今日も、お元気で。


今日も、ありがとう。

いいんじゃない。

最高気温19度の東京です。

四月になって、桜が咲いてきて、来週くらいにはお花見だね。


お弁当にお茶くらいなら、いいんじゃない。


のんびり眺めながら、風に吹かれるくらいなら、いいんじゃない。


いいんじゃない。


みんながおんなじようにはできないし、


みんながおんなじようにしなくてもいい、


みんながすこしずつ、


みんながだれかのために、

みんながみんなをおもって、


みんながみんなやればいい。


みんなのくにで、


みんなのほしだから。



今日も、お元気で。


今日も、ありがとう。

あったかい。

青空の東京です。


電車の中が、あったかい。
人がいっぱいで、あったかい。

上着を着ていて、あったかい。

きっとみんな、あったかい。

薄着の人だって、あったかい。

重い荷物を持っていたら、もっとあったかい。

あったかい人がいっぱいいると、もっともっとあったかい。

心があったかいと、体もあったかい。


そんな日だって、あっていい。



今日も、お元気で。


今日も、ありがとう。