いま生み出される。

　爽やかな空の東京です。


　『サンタクロースが歌ってくれた』10days Limited Versionの初日が開いた。最近、キャラメルボックスの舞台を客席から観ることに慣れてきていたのだが、今回は緊張した。やっぱり自分が現在やっている同じ作品だからだろう。どんな風に進むのか、お客さんにはどんな風に受け取られるのか、出てもいないのに、そんなことが気になって気になって、なかなか物語に入っていけなかった。でも、知らない間に、いつものみんなが物語の登場人物になって、心の中に入ってきた。すっと入ってきた。

　よくわからないが、たぶん自分ひとりで観ていたら、そんな風にならない気がした。あれこれ要らぬことを考えて、物語に入っていけなかった気がした。でも、回りには、この物語を素直に楽しんでいるたくさんのお客さんたちがいた。前のめりになって、笑って、拍手する、笑顔の人々がいた。そんなお客さんたちの波動が伝わってきて、何度も経験している物語にも入っていけたのだ。いま目の前で生み出される知っているはずの新しい物語に入り込めたのだ。

　生きている人間が違えば、たとえ同じ言葉を喋っていても、同じ人生などないのだと教えてもらった。そして、それは自分ひとりだけでも、舞台上だけの人々だけでも作れない人生なのだ。観ている人々と一緒に作る人生なのだ。いま、この時に。


　今日も、お元気ですか？


　
　今日も、ありがとう。